撮影日:動画内の映像は2021年2月12日
動画:「近鉄の新観光特急「あをによし」を解説・考察!!【引退したスナックカーが魔改造されて復活する!!】」
本日は令和3年10月8日…で合っているのだろうか?とこの画像を思ってしまうかもしれませんが、この画像は12200系「スナックカー」のラストランが行われた令和3年2月12日のワンシーンです。本日の主役はこのラストランが既に行われたスナックカーです。
それがこの度、まさかの観光特急として復活するというニュースが舞い込んできました。
今回は、近鉄のプレスリリースを見ながら、解説・考察をお届けしていきます。
まず初めに、この記事ではプレスリリースの該当部分の引用は一部省略します。この下のリンクから近鉄のプレスリリースを閲覧できますので、こちらをご覧いただきながら読み進めていただけるとより分かりやすく読み進めていけるかと思います。
近畿日本鉄道 ニュースリリース「2022年4月29日に大阪~奈良~京都を結ぶ観光特急「あをによし」がデビュー!」
まず、この上のリンクに書かれているタイトルをご覧いただいて分かる通り、2022年4月29日に大阪・奈良・京都を結ぶ観光特急「あをによし」がデビューすると記載されています。
プレスリリースの冒頭には「列車に乗ること自体を目的とする旅行や京都経由での奈良観光、コロナ禍後のインバウンドなどのニーズを見据え」てデビューさせると記載されています。
これだけ読むと、「また近鉄がしまかぜのような新しい観光特急をデビューさせるのか」「観光特急よりも通勤型車両を早く導入してほしい」という感想を抱く方もいるのかもしれません。ですが、プレスリリースのイメージ画像を見てみると…
このデザインはどこか既視感があるように思えます。
そして、このプレスリリースを読み進めると、「改造車両 4両1編成、特急車両(12200系)を改造」と記載されています。
そうなのです、この列車は冒頭に出てきた、令和3年2月に引退をした近鉄12200系「スナックカー」の老体にさらに鞭を打つような感じで魔改造を行い、観光列車に仕立て上げるという列車になるようです。これはなかなか驚くべきことで、とある関東地方の私立大学で野球部の監督を務められていた方に話したら「たまげたなぁ」と恐らくコメントを残すのではないでしょうか。
※ちなみに、立教大学の野球部で監督を務められていた斎藤章児さんは2019年4月にお亡くなりになられたようです。
後世に残る素晴らしい名言を残していただき、ありがとうございました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
私もこのスナックカーの引退には非常に寂しい思いをしたので、今回の復活には非常に嬉しいものを感じます。
まだ走り出すのは半年後ということですので、とりあえず概要を見ていきたいと思います。
まずは主な特徴から見ていきましょう。
主な特徴
(1)古都・奈良をイメージさせる高級感のある内外装となっています。
(2)座席は2名用のツインシート(1列+1列で配置)と、3~4名用のサロンシー
トの2種類を用意しています。
(3)2号車には、軽食や飲料等を提供する販売カウンターを設置します。
(4)朝夕の2便は大阪難波駅~近鉄奈良駅~京都駅間を乗り換えなしで利用できます。
まずは(2)から見ていきます。この文から、あをによしは2人か3~4人で利用するのにちょうど良い風になっていることが分かります。逆に1人の場合は利用しづらい、あるいは利用できないということが読み取れますので、1人で利用したい方は注意が必要です。
観光をするという目的だと、複数人で行くというのが定番なので需要がありますが、ひとり旅をしたい方にはちょっと難しい座席設定になっています。
次に、(3)を見ていくと、2号車に軽食や飲料を提供する販売カウンターがあるということが書かれています。この1文はスナックカーファンにとっては非常に熱い一文になっています。
「しまかぜや青の交響曲(シンフォニー)のように今までの観光特急に販売カウンターがあったので、普通のことなのでは?」と思う方もいるかもしれません。ですが、ここで大事なのはこのあをによしがスナックカーから改造されるということです。
元々、スナックカーには軽食を販売するスペースがあって、このことからスナックカーの愛称が付けられたぐらい、販売スペースには縁のある車両なのです。
しかしながら、軽食販売スペースは1970年代に廃止されてしまったという過去があります。
というわけで、スナックカーがスナックカーたる所以がなかなか分かりづらい状況が長らく続いていたのです。私が生まれた頃には既に軽食販売カウンターが廃止されていたので、なぜスナックカーと呼ばれていたのかあまりピンと来なかったのです。
その軽食販売スペースが今度の観光特急「あをによし」への改造では復活するということで、非常に意義があることです。
私も往年のスナックカーの賑わいがこの観光特急で楽しめるということで、この新しい観光特急のデビューが今から非常に楽しみにしております。
そして、(4)を見ていくと、朝夕の2便が大阪難波~近鉄奈良~京都で直通運転を行うとのことですが、これは非常に画期的なことです。
近鉄は大阪難波と京都という関西圏で需要のある大きな駅を2つ持っていますが、この2駅を直通する列車は基本的に存在していなかったのです。しかも、この2駅間はJRや他の私鉄戦と比べて非常に遠回りしている上に、運賃面でも時間面でも近鉄は非常に不利になっています。京阪間の移動需要は他社に完全に奪われているという現状があります。
それが、今回の観光列車では関西圏の2つの大都市を結ぶことになり、今まで完全に他社に奪われていた京阪間の移動需要のシェアを奪う、までとはいかないかもしれませんが、乗客にとっては新たな選択肢が誕生することになるでしょう。
気になる運行日ですが、土日だけの運行とはならずに近鉄の他の観光特急のように週6日の運行となるとプレスリリースには記載されています。運行頻度が高めに設定されているのがこの新しい観光特急の特徴のひとつでもあります。
続いて、内装を見ていきましょう。
プレスリリースの車内イメージを見ていると、かなりゆったりとした座席配置の印象を受けます。
この前、私は近鉄の改造車観光特急の先輩である「青の交響曲(シンフォニー)」に乗車したのですが、あをによしは青の交響曲に比べてゆったりとしているのが印象的です。
このイメージを見ていると、列車の座席というよりはホテルのラウンジという印象を受けてしまうぐらいです。
今までの近鉄の観光特急でこのようなゆったりとした座席配置を持つ列車は存在していなかったので、非常に革新的な列車になることが想像できます。
似たような列車としては、JR四国を走る「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」が挙げられるのではないかと個人的には思いますが、皆さんはいかがでしょうか?
というわけで、引退した12200系「スナックカー」がまさかの観光特急として復活するだけでもかなりの話題性がある今回の観光特急ですが、車内インテリアを見てもかなり近鉄特急としては革新的な内装となっているというのが今回の動画のまとめです。
「あをによし」と聞いて、和歌を連想される方は多いのではないでしょうか。
ここで、折角なら和歌を1つご紹介します。
あをによし 奈良の都は 咲く花の
にほふがごとく 今盛りなり
万葉集にある小野老(おののおゆ)の歌です。
青丹というのは青色の顔料のことだそうで、これが昔は奈良周辺でよく採れたということで、和歌では「あをによし」という形で奈良周辺を述べる際の枕詞として使われているのだそうです。
今回の観光特急はまさにここから列車愛称が採用されたのです。
この歌の意味としては、
青丹という顔料が盛んに採れる奈良の都の花はまさに今がピークだ
という趣旨の歌のようです。
この和歌が、令和3年に特急としての運用を終え、もう華々しく活躍することがないと思わせていて、まだまだこれから再びピークを迎えるスナックカーに重なるものがあると思えるのは私だけでしょうか。
今後のスナックカーの活躍に期待したいです。
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